高齢者の歯磨き介助のポイント


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高齢者の歯磨き介助のポイント
歯磨きは、普段の生活をする上で必ず行うものです。しかし被介護者の場合、自ら行うことが困難になり、介護者(ヘルパー・ご家族)の手を借りなければならない場合もあります。

高齢になると、口腔内がデリケートになります。歯を磨く前にしっかりと準備をし、快適な口腔ケアを心掛けなければなりません。

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歯磨き介助の前に

被介護者(介護を受ける方)の口腔内の状態を把握する必要があります。

虫歯や歯周病は無いか、それ以外の疾患は無いかを確認します。
異常がみられる場合は歯磨きを中断し、専門医の診察を受ける必要があります。

また被介護者の口の中の状態によって、歯磨き介助の方法も変わってきます
その場合、使用する物も変わってきますので、良く観察し考えて介助しましょう。

自ら動ける被介護者の場合は、できる事は自分で行ってもらい、介護者は危険がないかをしっかりと観察します。


歯磨き介助の方法と手順

拭き取り掃除

寝たきりや重度の障害を持ち、誤嚥(ごえん:食べ物などが気管に入ってしまう)の可能性が高い場合に行う方法です。

介護者(ヘルパー・ご家族)はゴム手袋などを使用し殺菌ガーゼを指に巻き、被介護者の口腔内の汚れを拭き取ります。

準備する物…フェイスタオル・ゴム手袋・殺菌ガーゼ・綿棒・うがい薬

1.被介護者に歯磨きをする事を伝え、体勢を整えます。
※側臥位(そくがい:横向きに寝る状態)もしくはベッドを起こし(約30度)、被介護者が苦痛にならない体勢にします。
2.被介護者の口を開き、細かい場所(歯の隙間)などの汚れには綿棒を使用します。
※綿棒は必ず湿らせて(水もしくはうがい薬)から使用します。

3.介護者(ヘルパー・ご家族)は、ゴム手袋をし人差し指と中指に殺菌ガーゼを巻き、口腔内を拭きます。
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※殺菌ガーゼは必ず湿らせて(水もしくはうがい薬)から使用します。
※歯だけではなく、歯茎や頬の裏側も良く拭きます。

4.終了後は、口腔内が清潔になったか、傷を付けていないかを良く確認します。


ブラッシング

被介護者が自ら行える場合は、介護者は出来る限りの事はしてもらい見守ります。歯磨き後に口腔内を確認し、磨き残しがある場合は、その部分を磨いてあげます。
自ら行えない被介護者の場合は介護者が行います。

※自ら行えるが利き手に障害がある被介護者の場合、電動歯ブラシの使用をおすすめします

準備する物…歯ブラシ(電動歯ブラシ)・フェイスタオル・うがい用のぬるま湯(お茶)の入ったコップ(吸い飲み)・洗面容器

1.被介護者に歯磨きをする事を伝え、体勢を整えます。(約30度は身体を起こします)
※被介護者が動ける様であれば、椅子やベッド上に座ってもらいます。
2.被介護者の首元にフェイスタオルを掛け、うがいをしてもらいます。
3.介護者(ヘルパー・ご家族)が介助する場合、上奥歯の表面から磨いていきます。
※上奥歯から順に前歯、逆の奥歯→表面に移動と、一周する感じで磨いていきます。
4.しっかりとうがいをしてもらい、口腔内を確認します。
※うがいの時、誤嚥に注意しましょう。

注:軽く歯に触れる程度の力加減で磨きましょう。また、歯並びの状態によっては、歯ブラシをたてて毛先で磨くと、歯の隙間の汚れが落ちやすくなります。


舌掃除

口腔内の清潔度を高め、口臭を予防する事に適した方法です。
舌専用のブラシを使用し、舌苔を取り除きます。

※毎日行う場合は、通常の歯ブラシで優しくブラッシングする程度良いです。

舌の汚れは通常の人でもつきやすく、口臭の原因になります。
しかし、力を入れて磨く事で舌に傷が付いてしまいますので、力の入れすぎに注意しましょう。

また、舌の奥を磨く時は特に注意が必要です。被介護者に舌を出してもらい、あまり奥に入れ過ぎない様にしましょう。

奥に入れ過ぎると嘔吐の原因になってしまいます。被介護者の状態を良く観察して行いましょう。この時、舌の色や状態の観察も忘れずに行って下さい。


歯磨き介助の注意点

高齢になってくると、歯茎が弱くなり傷付きやすくなります。
汚れが落ちないからと言って、力を加えると出血を招きます。力を加えるのではなく、汚れを落とす方法を考える事が必要です。

その場合、歯ブラシ以外の物を使用してみましょう。また、歯だけではなく、歯茎の汚れも落としてあげましょう。

歯ブラシで傷付きやすい場合は、殺菌ガーゼで拭き取った後、うがいをしてもらいましょう。

歯磨きの仕方は、必ずしも毎回同じとは限りません。

被介護者の状態や気分に合わせた方法を考え、快適に敏速に行う事を心掛ける必要があります。

また、口腔内の状態を良く観察し、異常がある場合は専門医の診察を受け、今後のケアの仕方を指示してもらいましょう。

歯磨きは、口腔内を清潔に保ち、口臭を予防するだけに行うものではありません。

被介護者に食事を美味しく摂ってもらい、気分を爽快にしていただくためにも必要な事です。

通常は歯磨き介助を1日数回行いますが、高齢者にとっては歯磨きする事も体力消耗に繋がります。

1日一回の歯磨きと食後のうがいを習慣にしてもらい、口腔内の清潔を保つ様に心掛けましょう。

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