車椅子移動の注意点・コツ
車椅子での移動には、介護者側の気遣いが大切です。
移動中の通路は、平らな場所だけではありません。段差があったり、斜面があったりします。そのためには車椅子の性能を理解し、安全・安心な移動を心掛けなければなりません。
また、被介護者の体調の観察も必要です。
車椅子移動時の介護者は、被介護者の状態や周りの環境に十分な配慮が必要となります。
車椅子移動の注意点
※ストッパーをかける時でも、片手はハンドルから離さない様にします。
2.狭い場所などを通過する場合は、被介護者の手足が障害物とぶつからない様に注意しましょう。
※狭い所を通過する場合は、周りに「通ります」と声掛けします。
3.車椅子に乗っている人は、押している人よりスピードを感じますので、常に確認しながら進みましょう。
4.車椅子での方向転換は、バランスを崩しやすいので、ゆっくりと行いましょう。
※停止の状態か低速時に行います。
5.車椅子から手を離さない様にしましょう。
車椅子移動のコツ
2.下りでの移動は後ろ向きで行い、介護者(ヘルパー)の体で停止できる体勢にしておきましょう。
3.足の開き方を工夫し、力の入れ加減を覚えましょう。
平地での車椅子での走行
見た目が平らだと思っても、車椅子に乗っている人は多少の振動を感じます。
被介護者の姿勢が傾いていないかを常に確認し、傾いている場合は安全な場所に停止し、姿勢を直します。
段差での車椅子の走行
上りの場合
2.段差に対し、車椅子を正面に真っ直ぐ向けます。
3.介護者(ヘルパー)はグリップを下に押し下げながら、ティッピングレバーに片足を掛け踏み込みます。
※この時、前輪が中に浮いた状態になりますので、バランスを崩さない様に気を付けます。
4.前輪が浮いた状態で前進し、前輪を段差の上にゆっくりと下ろします。
5.後輪を段差につけ、タイヤの回転を利用しながら、グリップを前方に押し上げます
6.段差にしっかりと後輪が上がったことを確認します。
下りの場合
※下りの場合は、後ろ向きで行います。
2.後輪をゆっくりと下ろします。
3.前輪が段差に上がったままの状態で、介護者はティッピングレバーを踏み込み、前輪を浮かせた状態にします。
4.前輪を浮かせたままの状態で、ゆっくりと後ろに下がります。
5.被介護者の足が段差にぶつからない事を確認し、ゆっくりと前輪を下ろします。
斜面での車椅子の走行
上り坂の場合
被介護者に上り坂を走行する事を伝えます。介護者(ヘルパー)は、車椅子が下がらない様に、しっかりと押します。この時、介護者(ヘルパー)はしっかりと脇を締め、歩幅を広げてゆっくり進みます。
※介護者(ヘルパー)は、車椅子にもたれかかる様な感じにすると押しやすくなります
下り坂の場合
ゆるい下り坂の場合は、被介護者が進行方向を向いたまま進みます。介護者(ヘルパー)は、車椅子のグリップをしっかり握り、手前に引くような感じでゆっくりと進みます。
急な下り坂の場合は、後ろ向きで下る事を被介護者に伝えます。
介護者(ヘルパー)は足元・後方に十分注意しながら、足を大きく広げながらゆっくりと下りていきます。
車椅子での「階段移動」の場合
一人では無理ですので、周りに協力を求めます。上りの場合は正面から、下りの場合は後ろ向きで行います。
※後輪が動かないか、しっかりと確認して下さい。
2.被介護者に階段である事を伝えます。
※背もたれに、しっかりと寄り掛かってもらいます。
3.介護者達は、ぞれぞれグリップ・アームレスト・後輪・サポートパイプなどを逆手にしっかり持ち、声掛けをしながら持ち上げます。
※被介護者にも、行動の説明をしながら行います。
4.車椅子が水平に近い状態を保ちながら進みます。
斜面や階段などの移動は、被介護者の不安や恐怖が大きくなる場所でもあります。
介護者(ヘルパー)は、その点を十分に配慮しながら走行しましょう。
また、1人で無理な場合は、周りに協力を求めましょう。
車椅子でエレベーターに乗るとき
エレベーターである事を被介護者に伝えます。乗る時は、エレベーターの扉に背を向け後ろから乗り込みます。
この時、キャスターが溝に落ちない様に、扉に対し直角に進みます。
エレベーターから下りる場合は、溝の部分でキャスターを浮かせ進みます。
車椅子で移動の時、被介護者は介護者に頼りっきりになります。
不安を取り除くためにはしっかりと行動の説明をし、危険を回避するためには周りに気を配りながら行う必要があります。
また、被介護者が苦痛を感じない姿勢を保持し、顔色や息遣いなど体調を観察しながら移動しましょう。
車椅子の被介護者は、介護者が思っている以上に、振動とスピードを感じています。被介護者が移動の途中で具合が悪くなった場合は、安全な場所で停止し、体調が落ち着いてから焦らず戻りましょう。