ヘルパーが行う高齢者の水分補給方法と注意点


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高齢者がこまめな水分補給を行うことは非常に大切なことです。ですが介護施設利用者には嚥下機能が低下した高齢者や認知症の方など健常者のように簡単に水分補給できないケースも多いです。
ヘルパーが行う高齢者の水分補給方法と注意点

ここでは高齢者の水分補給の必要性の説明や、ヘルパーが行う水分補給の正しい方法、注意点などを説明します。

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水分補給の必要性

高齢になると一日の食事摂取量、水分摂取量が減ることで水分の総摂取量が減ります。

それだけではなく筋肉量の減少、腎機能の低下に伴い体内の水分量が減少します。

摂取量と体内にある量が減るだけでも注意が必要なのですが、それに加えて高齢者は喉の渇きを感じにくくなるばかりか、夜中にトイレに起きるのが億劫であったり失禁等も増えたりするために自ら水分を控えようとする傾向にもあります。

そのような状態が多い高齢者は常に体内の水分不足になりがちなため、脱水症や脳梗塞、心筋梗塞といったリスクが非常に高くなるのです。

こういった理由から高齢者がこまめな水分補給を行うことは非常に大切なのです。


嚥下機能が低下した高齢者の水分補給方法・注意点

介護利用者においては声がけをするだけで自分で水分を摂れる方から、寝たきり状態で介護者(ヘルパー)が水分補給をしなければならない方に至るまで様々な方がいます。

老化が進むとものを飲み込む嚥下機能が低下してむせるようになりますが、このような状態になると窒息や、誤嚥性肺炎といったリスクも非常に高くなります。

このようなリスクを考えながら、適切な水分補給の方法を紹介していきます。


水分を摂る姿勢

一般的には前傾姿勢が望ましいと言われています。
理由としては喉から食道に至る過程で、気道(空気のの通り道で肺に至る)との分岐点があるのですが、仰け反った姿勢で水分を摂ってしまうと自分で飲み込むという意識がないままに水分が流れ込むので誤って気道に入ってしまう可能性が高くなります。

これは食事を摂る時にも言えますし、健常者でもむせる原因です。

例え介助で水分を補給する場合でも、寝たきりの場合はベットをギャッチアップさせて前傾姿勢で補給してもらうことにより自分で意識して飲み込むことができるようになるので誤嚥性肺炎等のリスクを減らすことができます。


介助する(水分補給する)タイミング

水分補給を介助してもらう利用者にとって一回の口に含む水分の量、二回目の水分を与えてもらうタイミングは非常に重要になります。

このどちらを間違えてもむせ込みの原因になるからです。

一回の口に含む水分量ですが介助する側は利用者の口元を見ながらゆっくりと少しずつ流し込むことが求められます。

ここでもし利用者が意志疎通可能な場合は介助を止める際の合図を前もって決めておくのも有効です。

意志疎通ができない場合は少しずつ流しながら咽喉が動く所を見ていて動いたら止めましょう。

咽喉(いんこう)が動くのは飲み込んだ証になり、そのタイミングが利用者の1回分の目安になります。2回目以降はそのタイミングで介助して下さい。


ヘルパーが必要な水分量を把握するために

人が1日に必要な水分量は約2000㎖だと言われています。

そのうち半分は食事やおやつでまかなえるのですが、1000㎖は水分で補給する必要があります。

ただやみくもに補給介助するだけでは、いったいいくら飲んだのか把握できなくなります。

そのような場合は介助をする毎に記録をつけて下さい。

目安としては朝昼晩の毎食事時に200㎖、おやつ時に200㎖、寝る前に200㎖というように1回200㎖程度を5回に分けて介助するのがいいでしょう。


嚥下障害がある利用者の水分補給

嚥下障害が進むと、むせ込む頻度が増えて液状の水分が摂れなくなります。

そのような場合は水分を液状のものから、それ以外のものに変えることで対応します。

一般的にはトロミをつけて対応する場合とゼリー状にして対応する場合があります。

トロミとは

利用者が液状の水分を摂取出来なくなった場合に、水分にトロミ剤と言われる水分にトロミをつける粉を混ぜることで嚥下障害がある利用者に使用します。

嚥下状態に応じて薄めのものから濃いトロミのものまで混ぜる粉の量を調節することで対応します。


ゼリー状のもの

トロミ状の水分でも摂取困難になった場合には、水分をゼリー状に固めて食べてもらう手法を取ります。

飲む行為が困難でリスクが高くなるため固形にして食べてもらうことで水分の摂取が可能になります。


利用者の水分補給の難しさ

上記してきたように単に水分補給と言っても、状態が低下していく利用者にとっては摂取困難になるばかりか、咽喉を通す行為のために呼吸困難や誤嚥性肺炎というようなリスクも伴います。

加えて認知症になると身体の機能の状態は健常者と変わらなくても意識の問題として難しくなります。

水分補給の介助をしようとして水を用意しても、毒が入っているとか、これは尿だ!私にこんなものを飲ませるのか!といったような被害妄想や、飲むという行為を忘れるといったことがあり、場合によっては寝たきりの利用者の介助をするよりも難しくなってしまうのです。


水分補給を拒否がある利用者の対処法

声がけや介助をしても拒否がある利用者もいます。

このような場合にはなぜ水分補給を拒否をするのかといった原因を探ることが重要になります。

前述したように夜間にトイレに起きるのが億劫であったり、尿失禁をするのが嫌だったりという場合には水分そのものよりも、ポータブルトイレを設置することで失禁への不安が解消されて拒否しなくなることもあります。

またどうしても水分を摂りたがらない場合にはその方の嗜好を考慮して、水に変えてお茶やコーヒーにしたり、冷たいものを好むなら氷を入れたり、温かいものが好きなら白湯を提供するなどの工夫も必要になります。

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