ありがちな介護事故とその予防法


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ありがちな介護事故とその予防法
介護現場で働くにあたって職員が一番神経をすり減らすのが介護事故です。

対人間を扱う仕事ですから死に直結するような事故やケガに対しては特に配慮が必要なのは言うまでもありませんが、一方で対象となる利用者は体力や体の機能の低下、持病や既往歴、現病歴を多く持っていて、なおかつ認知症によって判断力が低下し、思わぬ行動を取ります。

介護職員は利用者のどのような点に気を配り介護事故を予防すればいいのかについて説明していきます。

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介護事故は100%防げるものではない

介護事故の予防法を説明していく上で、防げるものではないというのは矛盾しているように思われるかも知れませんが、例えありとあらゆる対処法や予防策を講じてマンツーマンでバックアップしたとしても必ず100%防げるものではないということを理解していただきたいのです。

介護事故は100%は防げるものではありませんが、利用者の状態や現病歴を正しく知り、考えられる行動やリスクを推測してそれに備えることで回避できる事故もありますし、事故が起きる確率を低くすることができます。

例えばある知識を知っている、あるいは対処方法を知っていることで事故の発生率は大きく変わってきます。

介護職員(ヘルパー)が正しい対応をしていても起きてしまう事故ではありますが、これらの知識を駆使することでなるべく起こさないように、起きてしまっても利用者のダメージを最小限に抑えることが介護職員の務めであると言えるのです。

それでは介護の現場で起こり得る事故とその予防法、対処法について具体的に説明していきます。

介護事故1.「転倒」

高齢者である利用者が歩行可能な場合、一番に考えられる事故が「転倒」です。これは現状で歩行能力があったとしても、老化に伴い下肢筋力の低下が著しい利用者にとって立って歩いている状態では常に転倒のリスクがあると言っても過言ではありません。

さらに高齢者は転倒することによって、大腿骨頸部骨折につながるケースが非常に多いのです。

一度骨折してしまうと、車椅子生活になるか最悪寝たきり状態になってしまいます。健常者と違い、高齢者は一度の転倒が状態を悪化させるだけでなく、寿命すらも縮めてしまう恐れがあるのです。

転倒事故対策としては利用者が立ち上がり歩行した場合、ヘルパーは可能な限り付き添いましょう。また日頃から利用者が歩くと思われる老化やホール、居室は歩行の妨げになるような物を排除しておき、安全な状態に整えておくことも必要です。

介護事故2.「裂傷」

裂傷とは皮膚が破れてしまうことを言います。通常私達はあまりなじみがありませんが、高齢者の皮膚は弾力が無くなり非常に脆くなっているので、少しぶつけたり、擦ったりしただけの健常者の皮膚で考えると擦れ傷や少し赤くなる程度のたいしたことの無い衝撃でも高齢者の皮膚は裂傷してしまいます。

ですから、ヘルパーは健常者の皮膚とは別物だということを頭に入れておく必要があります。また皮膚疾患を持っていたり、利用者の状態によってはさらに皮膚の脆い方がいたりするので扱いには細心の注意が求められます。

対策としては、ヘルパーが各利用者の皮膚の状態を日頃からよく観察して気を付けなければならない利用者を把握しておくことが大切です。入浴時は皮膚がふやけてさらに破れやすくなることと、衣類は伸縮性があって大きめのものを用意する等の工夫をするだけでも、かなり裂傷のリスクは低くなります。

どうしても破れやすい利用者の場合は、看護師に相談して保護用のフィルムやガーゼを破れやすい箇所に貼っておくと予防にもなります。

介護事故3.「誤嚥・誤飲」

食物や水分を飲み込む際に飲み込むことを嚥下といいます。また食物を噛むことを咀嚼といいますが、誤嚥とは、この嚥下機能と咀嚼機能が低下して飲み込みがうまくいかずにむせ込み、食物が本来通る食道では無く気管へ入ってしまうことをいいます。

高齢者は各々の嚥下機能や咀嚼機能に応じて、食事形態を合わせた状態で提供していますが、それでもこの嚥下、咀嚼機能が低下して来るとむせ込みや誤嚥を起こしやすくなります。

それに伴う窒息事故は最悪死に至るリスクもあり得るので、ヘルパーは食事介助の際にはこれらを意識した状態で対応しましょう。

誤飲とは認知症等により食物ではないものを飲み込んでしまうことをいいます。基本的に誤飲の恐れがあり食べてしまうリスクのある利用者の近くには物を置かないことで対処します。

対処策、予防策としては、誤嚥でむせ込んだ場合、食事をする姿勢は正しい姿勢だったか?あるいはその利用者の状態から提供されていた食事形態は適切だったかを判断して調整することが求められます。

それらを検討し、むせ込みが続く場合は看護師、栄養士、ケアマネに報告して食形態を改善しましょう。窒息した場合、介護職員は何が詰まっているのかを確認して自分の指が届く範囲に見える場合は取り出しましょう。

何が詰まっているのか見えない場合は即座に看護師を呼び吸引器で吸引してもらいましょう。

誤飲の場合は、利用者が何をどの位飲んだのかを確認し、看護師に報告する必要があります。リスクが高い物の場合はそのまま病院受診になりますし、リスクが低い物であれば様子観察対応になります。

介護事故について「まとめ」

介護現場で起こりうる介護事故の頻度の高い物を3つ紹介しました。高齢者である利用者を介護する現場では常に介護事故と隣り合わせのような状態で仕事をすることになります。日頃からどの利用者にはどんなリスクがあるのか考えながら仕事をすることで知識や対応能力が付いてきますし、職員間で介護事故やリスク管理の勉強会を行うことも大切な事故予防策になります。

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