統合失調症の症状・特徴と生活支援上の留意点


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統合失調症の症状・特徴と生活支援上の留意点
統合失調症の症状は人によって違いがありますが、共通する気質や行動性などに特徴があります。

人は様々な”喜怒哀楽”の感情を持ち、常に思考しています。この感情や思考は、脳内の精神機能の様々なネットワークによって行われています。
しかし、統合失調症になってしまうと、情報や刺激に過敏になりすぎてしまい、精神機能のネットワークに支障をきたし、上手く対応ができなくなってしまいます。

統合失調症の病型は大きく3つに分けられます。

1.破瓜型
思春期から青年期にかけて発病することが多く、初期症状では感情の起伏がなくなったり、意欲減退などがみられます。

2.緊張型
青年期に突然発病し、大声で叫んだり、奇妙な姿勢をとるなどの異常行動がみられます。
3.妄想型
発病する年齢が比較的遅く、多くは30代前後といわれています。症状は幻覚や妄想が中心であり、その他の症状は殆ど現れません。

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統合失調症の主な症状

陽性症状

統合失調症の代表的な症状ともいえます。
本来あるはずのないものが現れる症状ですので、周りの人には見えたり聞こえたりしないため、奇妙な行動や言動が目立ちます。また、普通なら感じることのない身体への症状(体感幻覚・幻臭・幻味)などが起こることもあります。

現実には有り得ないことを信じこんだり、誇大妄想がみられたり、会話が支離滅裂になったり、突然興奮したりなどといった周りが理解しにくい症状が多く見られます。

主な症状…幻覚・妄想・自我意識の障害・思考の障害・行動の異常など


陰性症状

陽性症状に遅れて現れることの多い症状です。
感情が薄れ、意欲や思考が低下する症状です。普通の人であれば、気分の落ち込みで済む話ですが、統合失調症の場合は感情そのものの表現が乏しくなりますので、無表情・無感情になります。また、周りに無関心になり、自ら行動を起こすことが無くなり集中力が低下します。思考力の低下から多くの物事に対処する事が困難になり、会話もままならなくなります。

主な症状…感情の鈍麻や平板化・意欲の減退・思考の低下・対人コミュニケーションの支障など


認知機能障害

物事に対して臨機応変に対応しにくくなる症状です。
周囲の様々な情報や刺激に対して、何が重要なものかの判断ができず、全てのものが気になり注意力が散漫してしまいます。その結果落ち着きがなくなるなどの行動がみられます。様々な情報や物事を比較する事ができなくなるため、判断力が低下します。

主な症状…選択的注意・比較照合・概念形成の低下など

※症状の現れ方は脳内の様々な精神機能の場所によって変わってきます。


統合失調症の人に共通する気質と行動の特徴を理解する

統合失調症ときくと偏見を持つ人(社会)の方が多く、受け入れがたい病気であることは否めません。しかし、統合失調症の回復には周囲の理解とサポートが必要です。

統合失調症の症状の一つとして”疲れやすさ”がありますが、それに加え適度に休むことができず疲れが溜まりやすい傾向がみられます。これは様々な状況を臨機応変に対応できないことから常に緊張状態にあると考えられます。

また、臨機応変に対応できないと言う事は物事の変化にも対応できませんので、固定した行動パターンが必要となります。固定した行動パターンに追加課題があると混乱を招きますので、新しい課題や状況を作ることはなるべく避けましょう。

物事の失敗が多いのも病気の特徴の一つです。過去の体験から得た知識や教訓を身に付けることが苦手であるため、同じ失敗を何度も繰り返してしまいます。失敗を注意したり、叱ることをせず症状の一つと理解し、1から教え直す必要があります。

また、身体の障害と違い一目では分かりづらい精神疾患の場合は、身の回りのサポートも難しくなります。『病気になる前はできていたのに…』と思う事が多々でてきますが、病気になる前はできていたことに対してだけに目を向けるのではなく、病気によって障害されている部分を見極める必要があります。

病気になる前の状態レベルでのサポートではなく、現状で本人にとって無理のない生活をサポートする事が大切です。本人ができることできないことを把握し、できることは自分で行うようにしていきましょう。

共に生活する家族の方は見るに絶えなくなり直ぐに手を貸してしまい、本人ができるはずの事をできなくしてしまう可能性もあります。できないことに対しても多少見守る姿勢が大切です。あまりに過保護に世話をするのは本人の自立のためにも厳禁です。

統合失調症は社会・生活の機能が低下する病気でもありますから、病気の回復過程から自立を目指すことが大切です。

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