利用者が喪失体験と向き合う為にヘルパーができること


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利用者が喪失体験と向き合う為にヘルパーができること
高齢になると、怒りっぽく愚痴っぽくなる人がいます。例えば「私なんて…」と愚痴をこぼしたり、買い物先の店員さんに怒鳴り散らしたりなんて高齢者を見かけることが多々あります。しかし、元々からこういった性格ではなく、穏やかな人だったということも多々あります。

このような行動や言動には、高齢者特有の『喪失感』が考えられます。

では何故このような喪失感を抱くようになるのでしょうか?

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喪失感を抱くようになる原因として考えられること

1.身体の喪失体験

高齢になるとともに体力が低下し、自分の思うように身体が動かなくなります。また、老化現象があらわれたり、病気になりやすくなります。

そうなると、自分ではどうしようもなく他人の手を借りることになります。それが「私なんて…」という愚痴に繋がってしまうと考えられます。


2.人間関係の喪失体験

歳を重ねると我が子が自立し巣立っていくという寂しさの他に、パートナーや友人の死に向き合うことが多くなります。

パートナーや友人の死に向き合うということは、高齢になればなるほど自分の死にも向き合うということになります。


3.役割の喪失体験

高齢になれば必ずしも訪れるのが定年退職や子育ての終了です。
男性は定年退職を迎えた時、女性は子供が手から離れることによって役割を失ってしまったと感じるようです。

喪失感は老年期に体験する人が多く、心と身体の両方を不安定にしてしまいます。
では、このような喪失体験をしている利用者さんと向き合うためには、ヘルパーとして何をしてあげられるのでしょうか?


利用者さんが喪失体験と向き合うために

喪失体験をすると、上記でも述べたように怒りっぽく愚痴っぽくなる傾向にありますので、一見付き合い辛い人に見えてしまいます。そのことから周囲が距離を置き、更に孤独感までもが襲ってきてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

ヘルパーとしてできることは、しっかりとご本人と向き合うことです。何かをアドバイスするよりも『寄り添う』ことが大切になります。

寄り添う中でじっくりと話を聞き、何が不安なのか?何に興味を持っているのか?などを把握していきましょう。まずは、利用者さんの気持ちを理解すること、そして時に共感してあげ、その中から一緒に楽しみを見つけ行える環境や状態を作るのが理想的です。

喪失感と孤独感に襲われている利用者さんに対して「こうしてみたら」などというアドバイスよりも、話を親身になって聞いてくれる人がいることの方が必要なのです。

もし自分が怒りや不安、あせりなどを感じている時、話をじっくり聞いてくれる人がいるだけでも安心しますよね。その時にアドバイスをされても、逆に憂鬱になることありませんか?

下手にアドバイスをされると「私にはできない」とか「私は必要とされていない」などと感じてしまうこともあります。

まずは、利用者さんの喪失感や孤独感を自分に置き換えて考えて見て下さい。完璧に理解することは難しいことですが、理解しようとする気持ちを持つことはとっても重要なことです。

また、身体の自由が思うようにいかない利用者さんの場合、自分に苛立って周りにあたってしまっている可能性が考えられます。自分の身体の衰えを受け入れることができない利用者さんは、ヘルパーの支援に対しても苛立っていることもあります。

この場合、ヘルパー自身を受け入れていない可能性もあるため、無理に寄り添うことは逆効果になります。受け入れてもらえるまで気長にそっと見守ることも必要です。

受け入れてもらえた時に寄り添い、話を聞いてあげることがヘルパーにできる最善の方法だと考えます。

そして、身体が思うように動かないことを利用者さん一人だけがそうではないこと、誰しもが同じ状況にあることを伝えてあげ、不安を取り除き安心させてあげましょう。

喪失体験は利用者さんの今までの生活や人間関係などによって違い、また接し方も変わってきます。こう接するべきであるというものはありません。

ヘルパーができること・すべきことは、しっかりと利用者さんと向き合い話を聞き、様々な気持ちや思いをくみ取り把握しながら、その人に合った『寄り添い』を考えることです。

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