高齢者(利用者)の爪の切り方・注意点
高齢になると爪が厚く・硬くなったり、変形したりと、爪切りが困難な状態になります。
また、皮膚が乾燥し、痒みを伴うため、無意識に引っ掻き傷ができている場合もあります。
この様な状態を無くすためにも、介護者(ヘルパー)がしっかりとケアをしなければなりません。ただし、爪や爪の周囲に異常がある場合や、病状によっては爪切りをしてはいけません。
爪切り介助で準備するもの
準備するものは、爪切り・爪ヤスリ・蒸しタオルなどです。
高齢者の爪切りには、通常の爪切りを使用するよりも、ハサミ型やニッパー型がおすすめです。爪切りにカバーが付いている場合は外して使用します。
カバーを付けたままだと、爪と皮膚の隙間が見づらくなります。
切った爪や爪ヤスリで削ったカスを受け止めるものを準備すると良いでしょう。
爪切りが切りにくくないか、刃が欠けていないか、爪ヤスリはしっかりと削れるのかを事前に確認し、不具合があれば交換しましょう。
入浴・手浴後に爪切りを行う事が理想ですが、被介護者の状態によっては、頻繁に入浴できない場合もあります。
そのような場合は、爪を柔らかくするために、蒸しタオルなどで温めてあげると、爪が柔らかくなり切り易くなります。
他者の爪を切るのは自分の爪を切るのとは違い、爪と皮膚の堺目が分かりづらく、一気に切ろうとすると怪我をさせてしまいます。爪を一気に切るのでは無く、少しずつ切っていきましょう。
爪を切る時の姿勢は、お互いに安全・安楽に行える事を重視します。また、切る部分に光が当たる様にし、影にならない工夫をする事も大切です。
爪切りの手順
2.爪を蒸しタオルなどで温めます。
3.利き手ではない方の手で、被介護者の手・脚の指先を押し下げる様に(爪と皮膚の境目を分かりやすくする)持ちながら切ります。
注:爪切りで肉を挟んでいないか確認し、少しずつ切ります。
※爪の両角は真っ直ぐに切ります。(巻き爪予防のため)
4.爪ヤスリで爪全体を整えます。
注:あまり削り過ぎない様にします。
5.手を蒸しタオルで拭いて、爪が整っているかの確認をします。
注:引っ掛かる部分が少しでもある場合は、爪ヤスリで少し擦ります。
脚の爪を切る場合は、指の爪より硬く割れやすいので、少しずつ少しずつ切って行きましょう。また、親指の爪は巻き爪になりやすいので、切り方に注意します。
水虫の被介護者の場合は、ビニール手袋を使用しましょう。
普段、自分で行っている爪切りとは違い、他者の爪切りは慎重にやらなくてはなりません。思ったより深爪になってしまう事もありますので、切る前にしっかりと確認しながら行いましょう。
また、ギリギリまで短く切ろうとすると、出血の恐れがありますので、被介護者にとって安全で衛生的であれば問題ありませんので、無理はしないことです。
爪切りを使用して切るのが無理な場合、爪ヤスリで削るだけでも違いますので、安全な方法で行うことも大切です。
爪切りの注意点
・その都度その都度、爪切りで肉を挟んでいないかの確認しながら行いましょう。
・爪を切っている際中に出血があった場合は、直ちに中止します。
・爪の状態や周囲の観察を良くします。
注:異常がある場合は、専門医の診察を受けましょう。
・爪ヤスリで削る場合は、力を入れ過ぎない様に気を付けます。
・無理に爪を短く切る必要はありません。
・爪を切りを終えた後は、爪切りを消毒し片付けます。
・爪切りをした周囲を掃除し、爪の破片などを残さない様にします。
爪切りの厳重注意事項
(重度の巻き爪・爪カビ、爪の変形や厚みが酷い場合など)
・爪切りが禁止されている疾患がある場合は当然、行えません。
(糖尿病疾患、ワーファリン(血液をサラサラにする)などの薬を服用している場合など)
注:医療行為とみなされ、専門スタッフしか行えない場合がありますので、自己判断は禁物です
被介護者の爪を切る際は、行っても良いのかを確認しておく事が必要です。
自己判断で行い傷を付けてしまうと、後々問題になる場合があるため、しっかりと確認はしておきましょう。
突然の申し出があった場合でも、自己判断で行うことは良くありません。許可を得てから行う方が賢明です。
爪切り介助の必要性
被介護者の中には、皮膚の乾燥から痒みを伴い、引っ掻き傷が絶えないと言う状況が見られます。
爪が伸びていると菌が繁殖しやすく不衛生です。
そんな爪で傷を付けてしまうと、感染症の恐れもあるため、しっかりとケアしなければなりません。
また、爪が割れていたりすると、衣類や寝具などに引っ掛かってしまい、怪我をする可能性があります。
普通は、伸びたから切ろう位の考えしかありませんが、高齢者にとっては爪一つでも病気や怪我に繋がります。
また、手は食べ物を掴んだりもしますので、清潔に保つ事が大切です。
被介護者が、衛生的で安全な日々を送るためにも、爪切りは習慣にすると良いでしょう。