入浴介助の準備・手順・注意点


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入浴介助の準備・手順・注意点
高齢者の方々の体を保清するに当たって、入浴は欠かせません。

シャワーだけでなく浴槽に入って全身を温める事によって、心身ともに健やかに過ごすことができます。

また、介助者にとっても、入浴介助に当たった際にはその利用者の方の人となりをよりいっそう知ることが出来るきっかけともなる介助でもあり、状態観察の要とも言えます。

そんな、利点が多い入浴介助。
一体どのように介助すれば、利用者様にとって安全で、尚且つ快適な入浴介助を行うことができるのでしょうか。

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入浴介助前のチェック事項

①バイタルチェック

先ずはバイタルチェックを行いましょう。
体温はもちろん血圧が高いと入浴は出来ません。

血圧は140/80が正常値とされていますが、個人によって数値の平均に大きく差があります。

普段血圧が高い(例えば170/95)状態で安定している人に、降圧剤の効き目を待たずにそのまま看護師がОKを出し、入浴させてしまう施設も私は経験したことがありますが疑問が残ります。

体温もそうですが、利用者の「1番安定している状態のおおよその数値」は、必ず頭に入れておきましょう。

皮膚の異常は必ず知っておきましょう。
食事の直後の入浴は不可です。

トイレを済ませたかどうかの確認も必ず行いましょう。

②状態観察

利用者を観察して、「いつもと違うな?」と思う点が無いか確認しましょう。

疲れている、なんだか元気が無い、食事の摂取量が少ない、ベッドから離れたがらない、イライラしているなど気分不良が見られる場合は、入浴の順番をずらしたりしながら経過観察をしましょう。

会話のつじつまが合わない、ろれつが回っていない、視線が定まらないといった異常がある場合は看護師に報告し、指示を待ちましょう。

また、顔色・表情・入居者であれば部屋の状態も含め、以後の記録に残し異変を取りこぼさないようにしましょう。


入浴介助の手順

①脱衣所・浴室の準備

先ず浴室をしっかりと温めましょう。
シャワーを壁面・浴槽・椅子・その他全体にかけて行きます。

シャワーチェアの座面に、タオルを1枚敷き、利用者の体が直接触れないようにしましょう。

心臓や呼吸器に持病のある方などは、本人の了承を得た上で少し熱めのお湯をシャワーで出しっぱなしにしておくと良いでしょう。

蒸気で浴室全体の空気も温まり、心筋や気管の収縮を穏やかにします。

先に浴槽マットを敷き、浴槽内椅子など必要な方には、このとき準備しておきましょう。浴槽にお湯を溜めていきます。利用者によって湯温も湯量も違うので注意しましょう。

脱衣所は、介助者が少し蒸し暑いと感じるくらいがちょうど良い温度です。
退浴後に浴室と脱衣所の温度差が、高齢者の体には大きな負担となるからです。


②洗髪・洗体

先ずは介護者(ヘルパー)が手でシャワーの温度を確認しましょう。

適温と思ったら「熱くないですか?」とお伺いしながら、利用者(被介護者)の足先にシャワーをかけます。
ОKを頂いたら、すね・膝と、徐々に体の上部に向けてシャワーをかけていきます。

このとき洗面器があれば、湯を張り利用者の両足を浸けましょう。足先からの体の冷えを予防し、血液の循環を良くします。

洗髪する際、利用者の方に、お湯が入らないように耳をふさいでもらい、髪にお湯をかけていきます。

洗髪の際に、頭皮に異常が無いか観察しましょう。

白い頭皮に赤み・発疹・剥離・かさぶたがあれば、必ず記録し、看護師に申し送りましょう。

頭皮をこするのではなく、指の腹でマッサージするように優しく洗います。
シャンプーの流し残りが無いようにしましょう。

洗髪・洗顔が終わったら洗体です。

皮膚に落屑(らくせつ:皮膚の剥離)やただれ、痒みがある部位は石鹸は使わず、シャワーで流す程度にしましょう。

発汗しやすい部分を覚えておきましょう(胸の下・おなかのくぼみ・わきの下・麻痺側の手足・肘・膝の屈曲部分)また、洗髪同様、きつくこするのは止めましょう。

皮膚はうろこのように上から下に向かって生えています。
全体的に下から上にタオルを動かして洗いましょう。

拘縮した手は、いきなり開かず指1本1本ゆっくり洗いましょう。
痛みがある場合は介護者の手に泡をつけて手洗いするなど工夫します。

洗っている時にも皮膚の観察を行います。
床ずれや皮膚疾患などのスキントラブルにいち早く気付くことができ、その予防にも繋がります。


③浴槽につかる

シャワーチェアから立った際ふらつきの有無を確認します。
足腰に自信のない利用者の方たちが1番怖がっておられるのが浴槽に入る瞬間です。

一瞬1本足で体を支えるため、つい力んでしまわれます。

「わたしが○○さんの腰を持っていますからね」「足を上げるのをお手伝いしますからね」といった声掛けで安心していただきましょう。

浴槽につかり、座るぎりぎりまで利用者さんの支えて欲しい部位を離さないようにしましょう。

退浴の際立ち上がるときには「ゆっくり立って下さいね」と声掛けをします。

血圧の変動からめまいを起こす利用者さんも多いからです。
しっかり立っている事を確認してからあがるのを手伝いましょう。

シャワーチェアに座っていただき、掛け湯を行います。

終わったら背中にバスタオルを掛けていただき、拭けるところは浴室内で自分で拭いてもらいましょう。

体がびしょびしょにぬれたまま脱衣所に出ないようにしましょう。


④水分補給

水分補給はとても大切です。
下着を着終わったら水分を少しずつ摂っていただきます。
このとき気分不良等無いか、よく観察しましょう。

入浴は血圧の変動・筋肉の収縮など身体状況の変化が顕著です。
必ず終始要観察とし、入浴介助に臨みましょう。

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