トイレ拒否する利用者さんの対処法
トイレに行く事は、恥ずかしい事だと言う認識が人にはあります。
被介護者でも同じです。しかし、手を貸してもらわなければトイレに行けない被介護者の中には、言い出しにくく我慢している人も居れば、他人に頼るのが嫌だと言う人もいます。介護者は、その気持ちを組み取り、理解し接する事が大切です。
羞恥心は誰しもが持っているものですので、介護者は「自分だったら…」と被介護者の立場に置き換えながら接しましょう。
信頼関係が成り立っていれば、拒否される事も少なくなります。
しかし、信頼関係が成り立つまでには、かなりの月日とテクニックが必要とされます。
ここでは、ポイントを重視して紹介していきます。
トイレ拒否の被介護者に対しての対応
介護者は表情や態度に注意しましょう
介護者(ヘルパーさん)が硬い表情で接していては、トイレを言い出せず我慢しがちになってしまいます。
また、態度が横暴だったりすると不安や不信感が増してしまいます。
表情や態度は、常日頃から柔らかくしましょう。
被介護者に対しては、なるべく否定せずに大らかな気持ちで接しましょう。
安心感を与えることが大切です。
言葉使い一つにしても、被介護者に合った言葉使いをしましょう。
必ずしも敬語でなければならない訳でもありませんし、その逆で必ず敬語でなければならない人もいます。
普段から会話をし、その中で合わせる様にしていきます。
被介護者としっかり向き合いましょう
トイレ拒否の被介護者の場合、トイレと言う言葉に異常に反応します。
「トイレに行きますか?」と何気ない一言でも、口にした瞬間に機嫌を損ねる場合があります。
そうなると、トイレには行ってもらえません。
トイレと言う事を口にせず、何かのついでにトイレに行ってもらうなどの工夫が必要です。
トイレに行く事を前提としない言葉・行動で、自尊心を傷付けない様にします。
被介護者の性格を理解し、どの様にすればトイレに行ってもらえるのかを考えます。
散歩が好きな被介護者の場合、散歩に連れ出したついでを装ってトイレに連れて行ったり、毎日TV番組を楽しみにしているのであれば、その番組が始まる前に「TV始まる前にスッキリしましょうか?」と聞いてみたりします。
トイレと言う言葉を別な言葉に入れ替えるだけで、羞恥心がなくなる場合もありますので、様々な言葉で声掛けをしてみると良いでしょう。
この時、生活習慣や好みを組み合わせた方法にします。
1度断られたら、しつこくせずに様子を伺いましょう。
また、断られた時と承諾した時の内容を把握しておきましょう。
言葉一つ一つで、被介護者が受け入れる・受け入れないがあります。
介護者は、自分の都合ばかりを押し付けるのではなく、被介護者の都合に合わせることが必要です。
被介護者の気持ちを尊重しましょう
トイレ拒否の被介護者は、自尊心を傷付けられる事を嫌います。
「トイレに行こう」と言ってしまうと、「トイレくらい自分で行ける」と反発する事の方が多いです。
自尊心の強い人程、自立しようとします。
自立は良い事ですので、その気持ちを組み取り、無理にトイレを進めるのはやめましょう。
トイレを拒否されたら無理強いはせず、様子を見ましょう。
もし粗相してしまっても、失敗した事を指摘するのではなく、「服が汚れているので着替えしましょうね」などと声を掛けてあげます。
この時、できれば上下を交換してあげた方が良いでしょう。
トイレ拒否された場合の対処ポイント
・無理強いをしてはけません。
無理強いをすると反発心が強くなり、その後の信頼関係が成り立ちません。
・トイレを強調してはいけません。
トイレが目的だとしても、別の理由を作ってトイレに連れて行きましょう
・普段の生活を良く観察しトイレのタイミングを見つけましょう。
タイミングによっては素直に行ってくれる事もあります。
・被介護者に対して否定する態度・言動はいけません。
自尊心を尊重すると共に、不安を取り除きます。
トイレ拒否の注意点・観察事項
トイレ拒否の注意点・観察事項を以下に挙げておきます。
介護者に対して、安心感を持たせるためです。
・どんな言葉に過剰に反応するかを観察します。
表情や口調が険しくなった場合は、その言葉を慎みます。
・普段の生活習慣を良く観察します。
排泄の習慣を把握し、トイレに連れ出すタイミングをつかむためです。
・被介護者の趣味や好みについて普段から会話をします。
共感することで、信頼関係を築きます。
・トイレを我慢して粗相をしてしまった場合は、粗相した事は無視します。
粗相には触れず、別の理由で着替えをさせます。
・介護者の気持ちを押し付けてはいけません。
被介護者の意見を尊重してあげます。
トイレを拒否する被介護者にとってトイレは言い出しにくく、まして世話をしてもらうなんて…と言う気持ちの方が強く、素直になれない部分でもあります。
介護者は、その気持ちをしっかりと受け止め、自尊心を尊重し、羞恥心を取り除く様な対応を心掛けましょう。