介護用オムツの種類と選び方
介護用のオムツと一言で言ってもその数はものすごく多いですよね。
合わないオムツを使っていると皮膚トラブルの原因になったり、漏れに繋がったりするのは知ってるけど、かと言ってどのオムツを使えばいいかわからない、という人も多いと思います。そこでオムツの種類と選び方を紹介します。
ADLを把握しその人に合う介護用オムツを選ぶ
まずはその人のADLを把握する必要があります。最初に立位、座位姿勢の保持のできる方なのかどうかを確認します。
※ADLとは主に食事、更衣、移動、排泄、整容、入浴等の生活をする上での基本的な行動のこと。⇒ADLについて詳しく
もしも立位、座位共にできるのであればトイレでの排泄ができる場合がほとんどです。
便座への移乗や便座での座位を保てますからね。
この場合はテープ止めタイプのオムツではなく、リハビリパンツ型のものを選べば大丈夫だと思います。
必要に応じてズボンの上げ下げや尿とりパッドの交換等を介助すれば問題ありません。
反対に立位、座位保持のできない方であればテープ止めタイプのオムツを選んで使用するのが転倒、転落のリスクを抑えられますし、何よりも介助される側の方は安心で楽だと思います。
では、座位姿勢は保持できるけど立位が難しい、という方の場合はどちらにしたら良いでしょうか?
それは本人に尿意や便意があるかどうかが重要になってきます。
もしも「トイレに行きたい」という感覚のある方であればリハビリパンツ型を使用し職員(ヘルパー)二人でトイレ介助をする、という形がベストだと思います。
せっかく尿意があるのにテープ止めタイプを使用し、トイレではなくベッド上でオムツ交換を行っている、という例を知っていますがとても勿体無く思います。
介助を受ける側が不快な思いをするだけでなく、本人のADL低下を促してしまっているのですから。
高齢者の残存能力は活かしていかないとものすごい勢いで落ちていきますから、本人に合わないケアはマイナス面しかありません。
排泄パターンを把握し、介護用おむつをチョイス
次に大切なのは排泄のチェック表を作成し、その方の排泄パターンを把握することです。
一日の排泄パターンを何日も記録していくと大体の尿量や時間、排便の周期などもある程度わかるようになります。
それを記録したチェック表を元に本人に合ったオムツを選びます。
例えばオムツ交換で対応している方で尿量が多く、一回一回の排尿の間隔が長い方であれば吸収量の多い尿とりパッドを使用し、排尿のある時間にオムツ交換をすればいいですよね。
では一回の尿量が少なく、一回一回の排尿の間隔が短い方の場合はどうでしょうか。
尿量が少ないから吸収量の多い尿とりパッドを使用すれば漏れないし、オムツ交換の回数も減らせるからいいのでは?と思った方。間違いです。
そういった方の場合吸収量の少ない尿とりパッドを使用し、排尿がある度にオムツ交換をするのが理想です。
濡れたままのオムツが肌に密着する時間が長いと肌がかぶれたり、菌が陰部から入り込んでしまう恐れがあるからです。
ただし夜間の場合は介助される側(ご利用者)の睡眠の妨げになりますので少し吸収量の多いものにしてオムツ交換の回数を調整するのも大切です。
男性の場合でうまく吸収されずに漏れてしまった、という声も多く聞かれます。
その場合尿とりパッドを見てみましょう。
前の方だけ吸収されていてお尻側の方がほとんど吸収されていない、ということはありませんか?
男性の場合は陰茎が前の方にありますので、尿とりパッドの前側の方から吸収されるということになります。
尿とりパッドの多くはひょうたん型をしています。
通常ですとひょうたんのコブが大きい方がお尻側になるように使用しますが、男性の場合はこれを逆に使用してみて下さい。
吸収量の多い方を陰茎側に設置することで通常に使用するよりも吸収効率は良くなります。
女性の場合でも同じようなことがあります。
前の方が濡れていないのにお尻側の方ばかり吸収されて漏れてしまう、というものです。
女性も陰部の位置などは個人差がありますので、後ろの方にある方ならば通常のオムツの当てかたよりもお尻側に尿とりパッドが多くなるように使用しましょう。
体型に合った介護用オムツを選ぶ
体型的な問題で漏れやすい方はどうでしょう。
痩せ型でオムツを当てていても隙間ができてしまいそこから漏れてしまう、という方もいますよね。
漏れないようにオムツを強く密着させて使用しテープ止めをきつく締める、という使い方はよくありません。
介助される側が不快なだけでなく皮膚トラブルの原因になります。
そういった場合は少し形状の違う尿とりパッドを使用します。
通常の尿とりパッドと違い片側の中央部がきゅっと摘んだような形をしているものがあります。こちらは通常のものよりも当てた時に鼠径部に密着するようになっており、無理なく隙間を無くすことができます。少し値段が高いのですが漏れを防ぐことができますし褥瘡や皮膚トラブルの改善にも効果があるようですので試してみる価値は十分にあると思います。
以上オムツの選び方を紹介してみましたがいかがだったでしょうか。
オムツ選びは排泄パターンや体型など個人差があるので一概には言えませんが少しでも参考になれば幸いです。
介助される側もする側も快適に過ごせるよう頑張っていきましょう。