寝た体勢でのオムツ交換の手順(男性・女性)
ADLが低下している為、トイレの使用が困難な方の排泄介助として寝た状態でのオムツ交換があります。そこで臥床している方のオムツ交換の手順について説明します。
※ADLとは主に食事、更衣、移動、排泄、整容、入浴等の生活をする上での基本的な行動のこと
1.本人への確認を取りオムツ交換に必要なものを準備
まず初めに声掛けを行い本人への確認を取ります。
オムツ交換をさせていただくことへの同意をいただきます。
同意をいただけたなら物品の準備に入ります。
必要物品は使い捨て介助用エプロン、使い捨てのプラスチックグローブ、陰部洗浄用のお湯と洗剤(できれば泡で出てくるタイプのもの)、清潔な布かティッシュ、新しいオムツと尿とりパッドになります。
お湯は100円ショップなどに売っているソースや調味料等を入れておく容器(蓋の部分が取り外し可能で、口が細くなっているもの)がおすすめです(お好み焼き屋さんでマヨネーズ等を入れておくものがイメージしやすいですね)。
お湯の量はその容器で一本分(350ml)ほどあれば十分だと思います。
泡石鹸は陰部を清潔に保つためには必要不可欠です。
また褥瘡(じょくそう:床ずれ)のある方は毎日のケアがとても大切ですので必ず準備するようにしましょう。
物品の準備ができましたら再度本人への確認を取り作業に入ります。
ここで注意して欲しいのが必要最低限の露出に留めること、そして短時間で行うということです。
やはり家族や介護者(他人)に見られるというのは気分が良いものではありません。
本人には当然羞恥心や屈辱感があるということを理解して取り掛かりましょう。
2.介助用のエプロンと手袋を着用し衣服を脱いでいただく
まずは作業をする人が介助用のエプロンと手袋を着用し、オムツ交換を受ける側の人に衣類を脱いでいただきます。
自分でできるところはご本人にしてもらいましょう。
もし難しいようなら介助します。
ベッド上の場合ベッド柵に掴まってもらうと体位変換が楽だと思います。
そしてオムツをはずします開きます。(※汚れていなければオムツを外さず尿とりバッドの交換のみにします)
3.排尿、排便の有無、皮膚状態をチェック
ここで排尿、排便の有無の確認をします。
合わせて皮膚状態を観察します。
オムツ交換での対応の方ですので自力での体位交換が難しい場合が多いと思います。
そういった方は褥瘡(じょくそう:床ずれ)が発生しやすいので特に皮膚状態の観察には注意が必要です。
更に夜間のオムツ交換の場合ですと日中よりも吸収量の多いオムツを使用する等、日中よりもオムツ交換とオムツ交換の時間の間隔伸びる場合が多いと思います。
そうしますと濡れたオムツが長時間皮膚に触れていることになりますし、オムツの中も蒸れますので皮膚の爛れ(ただれ)の原因にもなります。
ですので排泄の有無の他にも必ず皮膚は確認するようにします。
確認ができましたら左右どちらかに体位変換していただき濡れている尿とりパッドを外します。
外しましたらそのまま新しい尿とりパッドを敷き、仰臥位(ぎょうがい ※仰向け)に戻っていただきます。
4.陰部洗浄
そして陰部洗浄に移ります。
準備していたお湯を使用するのですが、必ず自分で温度を確認したあとで本人に確認を取ります。
お湯のみで洗浄
温度が大丈夫なら一度お湯のみで陰部を洗浄します。
ここまでは男性、女性共通です。
しかしここで注意なのですが女性の陰部洗浄、拭き取りの際は必ず陰部の方から臀部(でんぶ ※しりの部分)側へ行ってください。
男性の場合もこの順番で良いのですが女性の場合は特に注意が必要です。
なぜかというと女性は男性に比べて尿道が短いのです。
つまり、尿道が短い為、細菌が尿道から侵入しやすい、ということです。
洗浄後に濡れた皮膚を拭き取る際に臀部側から陰部の方へ拭いてしまったとします。
便というのは当然不衛生なものですし、細菌もたくさん含んでいます。
そうしますと菌が尿道から体内へ入り込んでしまうのです。
その結果「尿路感染症」という病気に罹ってしまうケースがあります。
尿路感染症になりますと、陰部の炎症はもちろん、発熱にも繋がります。
病院受診して抗生剤治療が必要になりますので、くれぐれも洗浄時、拭き取り時の方向は念頭に置くようにしましょう。
泡石鹸での洗浄
お湯での洗浄が終わりましたら今度は泡石鹸での洗浄です。
直接皮膚には触れないように、泡で皮膚を撫でるように洗浄します。
イメージとしては洗顔と同じですね。
洗浄が終わりましたら再度お湯で洗い流します。
その後清潔な布、もしくはティッシュでしっかりと水分を拭き取ります。
拭き取ると言ってもゴシゴシ拭くのではなく、軽く皮膚に当てて水分を吸収させるイメージで行います。
尿とりパッドを交換
終わりましたら再度左右どちらかに体位変化していただき濡れた尿とりパッドを外し、新しいものを敷きます。
この時に女性であれば普通に敷いても問題は無いのですが、男性の場合ですと尿とりパッドを逆方向に使用するのも有効です。
なぜかと言いますと尿とりパッドは後ろ側が吸収量が多い形になっているものがほとんどです。
女性の場合は尿は尿とりパッドを伝って後ろの方に流れていきます。
それが男性の場合ですと陰茎が前の方にありますので主に尿とりパッドの前の方の面に吸収されるのです。
ですので漏れを防ぐ為に男性に尿とりパッドを逆方向に設置するのは非常に有効だと思います。
新しい尿とりパッドを敷いたら再度仰臥位(ぎょうがい ※仰向け)に戻っていただき、鼠径部にしっかり密着するようにパッドを当てます。
そしてオムツを閉じます。
オムツのテープ止めの部分は下側の2つはそのまま横に貼り付け、上側の2つは若干下方向に配り付けると漏れの防止になります。
腰部分を包み込むようなイメージになります。
そしてズボンを上げて終了となります。終了後には必ずオムツ交換を受けた方へお礼を言うようにしましょう。
注意点
以上が寝た体勢でのオムツ交換の手順になります。留意店としては…
・常に声掛け行い本人への配慮を忘れない。
・皮膚状態の観察。
・拭き取りの際の方向に注意する。
です。
尿とりパッドの方向については個人差がありますのでその方に合った使用方法をとりましょう。
男女共に皮膚状態の変化には注意し、特に女性は注意が必要ですので、しっかり念頭に置いてとりかかるようにしましょう。