認知症の方を見守る際の注意点
認知症の方は、思い掛けない事をしてしまいます。認知ができないから仕方が無いで済ませられる事と、済まされない事があります。
しかし、闇雲に注意・否定したり、やめさせるのでは逆効果になり、認知症の方を興奮させてしまいかねません。
認知症の方が何がしたいのか、何を伝えようとしているのか、何が望みなのかを良く考えて、行動や言動を観察します。
ここではヘルパーさん、ご家族ができる正しい認知症の方の見守り方を説明します。
認知症の方の徘徊について
徘徊と一言で言っても、種類や理由があります。
認知症で良く見られるは、物忘れによる徘徊や視空間認知障害による徘徊です。
道に迷ってしまったり、場所や位置が分からなくなってしまった事で、結果ウロウロとしてしまいます。
はたから見れば、ただウロウロしている様に見えますが、認知症の方には迷いながらも何かしらの理由があります。
その他にも様々な徘徊がありますが、どれも理由があります。「何をしようとしていたのか」を忘れてしまっているだけなのです。
中には、自分の気持ちを伝えようとして徘徊という行動にでる場合もあります。
この場合、居心地の悪さや面白くないなど、認知症の方にとって悪い事の方が多い様です。
どの様な徘徊に対しても、何故この様な行動をとるのかを考えて対処しなければなりません。
注:頻繁に徘徊がある場合は、近所や交番(派出所)などの人に伝えておきましょう
(衣類に名前・住所・連絡先を書いておくと良いでしょう)
・何をしようとしていたのか考えてみましょう。
(日々の生活の中からヒントが見つかるかもしれません)
・「ただウロウロしている」と言って、理由を考えずに連れ戻す事は解決になりません。
・認知症の方が徘徊をしても安全な工夫をする・もしくは徘徊しない様にしましょう。
(鍵を手の届かない位置に取り付けたり、認識している場所へは目印を付けてあげたりします)
・普段の生活パターンから徘徊する時間帯を把握する事も大切です。
(何処かに出かける習慣があれば、認知症になった後も忘れてはいない場合もあります)
認知症の方が手の届く範囲に危険なものを置かない
危険と判断される物は、認知症の方が気付く前に処分するか、手の届かない場所に片付けましょう。
気付いてしまってからでは、「無くなった」と大騒ぎになる場合があります。
また、認知症とは言え、持っていて後ろめたいと思うものは隠し持っていたりします。
周囲を確認する事も大切です。
(コンセントなども同様、カバーを掛けるなどの対処をします)
・認知症の方が動ける場合、手の届く範囲にはできるだけ何も置かない様にしましょう。
・認知症の方の持ち物を動かす場合は気付かれない様にし、戻す時は元通りに戻しましょう。
(見られていると、後に「盗まれた」と騒ぎになる場合があります)
介護者の目の届く範囲で自由にしてもらう
介護者(ヘルパー等)の目の届く範囲であれば、認知症の人に好きなように行動してもらうと言ったケア方法があります。
介護者は目視で確認・観察を行い、認知症の方の自立心や自尊心を保ち、自信をつけさせる事ができます。
しかし、この場合は付きっきりと言う難点がありますので、簡単に行える事ではないかもしれません。
認知症の方を見守る事で、今まで見えなかった事が見えて、認知症の方の行動の裏が理解できる様になったりします。
また、今まで手を貸していた事が、実は自分で行える事だったと言う場合もあります。
何に興味があり、何に感心を持つかもわかってきますので、今後の対応にも役立ちます。毎日ではなくても、時間に余裕がある時に実践してみて下さい。
・認知症の方が興味を持ちそうな物を置いておきましょう。
(趣味だった事や好きな物を置いてあげます)
・足元を整理整頓し、転倒しないように注意しましょう。
・危険のある部屋には入れない様に工夫をしましょう。
(台所や階段のある場所などは危険です)
・トイレや浴室など、個室に鍵は掛からない様に工夫しましょう。
認知症の方を見守る場合は安全性を重視する
認知症の方を見守る場合には、認知症の方に危険が及ばない様に環境を整える事から始めましょう。
また、認知症になる以前の行動範囲も把握する必要があります。
認知症の方の場合、以前の記憶で徘徊をしてしまう事があります。近所の人にも協力を求める事が大切です。
認知症の方の周囲は、危険な物全てを取り除きましょう。
触ったら危険と言う物だけではなく、誤飲の原因になる物や転倒の原因になる物など、危険の原因となる物は思いつく限り無くしましょう。
認知症の方が安全に生活でき、介護者が安心できる環境が望ましいです。
認知症の方を見守る事は簡単ではありません。
ただ見守るだけでは無く、事前に様々な注意や観察が必要とされます。
この事前準備を怠ってしまっては、お互いに安心安全に生活ができなくなってしまいます。
介護者(ヘルパーやご家族)は、認知症の方を理解した上で、今までの生活パターンをできるだけ崩す事なく、見守っていく工夫をしましょう。