認知症の被介護者とのコミュニケーションのコツ
人はどんな症状であれコミニュケーションが必要です。
特に高齢になれば成る程、人の手を借りなければならなくなります。
そして、脳も衰え様々な事を認知する事が難しく、コミュニケーション能力も退化していきます。
相手に上手く意思を伝える事ができなくなり、当たり散らす事も多々あります。
今までできていた意思表示ができなくなる事で、心を閉ざしてしまう方もいます。
ここでは、認知症方との正しいコミュニケーションの取り方を説明します。ヘルパーさんやご家族の方は是非、参考にしてください。
尊厳を守り認知症の方と接する
認知症に限らずですが、ヘルパーさんは高齢者に対しては尊厳を守った態度で接しましょう。認知症の方が伝えたい事に対して、否定する事は良くありません。
認知症の方は、自分を受け入れてもらえないと感じると反発心が強くなり、コミュニケーションをとる上で逆効果になってしまいます。
まずは、肯定し受け入れる姿勢が大切です。
何が言いたいのか、何を望んでいるのかを考え、優しく大らかな気持ちで接しましょう。
・何かを楽しんでいるのであれば一緒に楽しんでみましょう。
・会話が成り立たない場合でも否定せず会話を楽しみましょう。
・怒ったり、怒鳴ったり、呆れた様な態度を見せるのはいけません。
・どんな時でも、笑顔で接する事が何より大切です。
認知症の方と一緒に楽しむ時間を作る
尊厳を守るのと同時に、認知症の方と一緒に物事を楽しむ心を持ちましょう。
その方が、今までどんな事を楽しんでいたのかを考え、一緒にやってみます。
散歩が好きだったのなら散歩に行き、折り紙が好きだったのなら折り紙を、歌が好きなら一緒に歌いましょう。少しの共感の積み重ねで、認知症の方も心を開いてくれます。
・嫌がる時は無理強いしないで、認知症の方のペースに合わせます。
・時間帯に関係無く、できる限り一緒に楽しみましょう。
認知症の方の生活サイクルを乱さない
認知症の方の場合、生活サイクルを乱される事を嫌います。
『認知できていないから大丈夫だろう』と思われがちですが、少しの変化にも敏感です。
様々な事を認知できなくなりますが、時間・物・人などに執着心を強く持っている場合もあります。
ヘルパーさんやご家族の方は、できる限り認知症の方に合わせた生活サイクルを心掛けましょう。
・布団や衣類なども洗濯したからとまるっきり別な物に替えるより、同じ様なものに替える方が望ましいです。
・掃除をして動かした物は、元の場所にしっかりと戻しましょう。
・今までの決まった生活サイクルをできる限り持続させてあげましょう。
認知症の方への配慮
認知症の方は、同じ事を何度も何度も言ったり、同じ質問をする場合があります。
この場合、「前にも聞いたよ」「何回も同じ事言って」などと言うのではなく、初めての時同様に答えてあげる、もしくは肯定しましょう。
また、認知症の方は自分の身内も認識できなくなり、娘を母と言ったり、娘ではない人を娘などという場合があります。
その場合でも、「違うよ」などと否定するのでは無く、その人になりきってあげましょう。
認知症の方が若い頃の自分に戻って話をしている場合も同様です。否定せずに聞き、共感してあげましょう。
時には、スキンシップも大切です。
会話をしながら手を擦ってあげたり、肩を抱いてあげたりと、体に触れてあげる事で認知症の方に安心感を与えます。
人の体温は、言葉では伝わらない事を伝えるコミュニケーション手段の1つでもあります。ヘルパーさんは恥ずかしがらずに抱きしめてあげましょう。
介護疲れしないためには
1人で認知症の方と向き合うことは、非常に大変な事です。
お互いに意思疎通が上手くいかない事でストレスを感じ、時には嫌になる事もあるでしょう。
しかし、それは人として当たり前の事です。
ヘルパーさんやご家族の方は、自分を責めたり、一人で抱え込まずに、周りに甘える事も必要です。「こうしなけれならない」と言った固定観念に囚われず、休む時は休み、一緒に楽しめる事を考えながら、気持ちを楽にして接してみて下さい。
家族や周りの人に協力を求める事は、ストレスを軽減するためにも必要です。
自分が対応できない場合は代わってもらえる様にしましょう。
代わってもらった人へ、認知症の方への接し方を自分がしているのと同じにする様に伝えます。
また、いきなり知らない人が来ると、認知症の方は混乱してしまいますので、少しずつ慣れる様に、代わりの人を交えた3人での時間を作りましょう。
認知症の方でも感情や表情はあります。
しかし、それを上手く表現できなくなり、見過ごされてしまう場合が多々あります。
その事でイライラし、反抗的になったりする事を理解してあげましょう。
その事を良く理解した上で、どんな言葉で、どんな態度で、どんな表情で接する事が望ましいのかを考えましょう。
時と場合、認知症の状態によって接し方も変わってきます。臨機応変に対応する事が重要です。どんな時も笑顔を忘れずに接してあげましょう。