ベッドで寝たままの姿勢での食事介助方法と注意点


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ベッドで寝たままの姿勢での食事介助方法と注意点
お年寄り(被介護者)からの訴えとして、頭痛やめまいが強い・首に痛みがある・気分不良等があった際、身体機能上の問題から座位を取る事が出来ない、または医師からの指示により、ベッド上で寝たままの食事摂取となる場合があります。

寝たまま食事を摂るということは、嚥下機能(えんげきのう)の低下したお年寄りにとって、誤嚥性肺炎のきっかけともなる摂取方法であり、時に命の危険性が伴うため、介助者(ヘルパー等)には知識と技術が必要となります。

※嚥下とは:食事を認識⇒噛んで飲み込みやすくする⇒食べ物を口から咽頭へ⇒後咽頭⇒食道⇒胃という流れのこと

介助に入る前、必ず相手にその旨を伝えましょう
意思の伝達が出来る人、出来ない人関係なくです。

なぜなら、まずそれが介護者(ヘルパー)の接遇として当然の事であること。

次に「今からベッドの上でお食事ですが、まず準備をさせていただきますね」と声掛けをさせていただくことで、相手の意思・体が、食事摂取にむけて反応をし、唾液の分泌が促進されるからです。

準備をしながら、メニューの説明をしても良いでしょう。
本人の嗜好を聞くなど。楽しく摂取できるお膳立てをし、誤嚥(ごえん:食事が気管などに入ってしまうこと)を予防しましょう。

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ベッド上で寝たままの体勢での食事介助手順

1.サイドテーブルに食事を準備

まずサイドテーブルに食事を準備しましょう。
介助者の椅子もちゃんとあるか確認しましょう。


2.被介護者の食事を摂る姿勢を作る

次にお年寄りに、利き手と反対側の方向の側臥位(そくがい:横向きに寝る状態)になっていただきます。

クッションや巻いたバスタオル等を背部にかませ、腰までしっかり支え、傾斜を保持しましょう。

体の角度が前傾になりすぎないよう注意しましょう。

このとき膝の間にクッションが入っている方の場合、痛みが無ければクッションは外したり、厚みを減らすなどしましょう。

軽く両膝を曲げると、側臥位が安定します。

次に「あたま」側のギャッジアップを、少し上げ、「苦しくないですか?」「痛みは無いですか?」と気分を覗いながら位置を決めましょう。

つぎに頭の角度ですが、あごが引けているか確認しましょう。

筋肉が萎縮しているなどの理由であごが引けない方の場合は、食事介助の際後頭部の上部を保持し、飲み込みやすい角度を意識しましょう。

体制が整ったら、「体の向きは安定してますか?」とお伺いしましょう。


3.お年寄り(被介護者)の胸元にタオルを

食べ物がこぼれて寝床を汚してしまわないようにお年寄りの胸元にタオルを敷きましょう。「これでこぼれても大丈夫ですよ」と声掛けをし、安心していただきましょう。


食事介助を行います

このとき目線がなるべく同じになるように、上からの食事介助にならないように注意します。ベッドの高さを調節しても良いでしょう。

お年寄りの手を拭きます。

手が動く場合は、拭いた上利き手にティッシュなど持ってもらい、口が拭くことが出来るようにしておきます。

ひと口お茶を飲んでいただき口内を湿らせます

そしてメニューの説明だけでなく、実際どんな料理が出されているのか見てもらい、食欲がそそるようにしましょう。

楽に口に入れられる様よく観察しながら、1さじ1さじゆっくりと口に運ぶようにして下さい。

飲みこんだことを確認してから、次の1口を進めましょう。

噛み砕きやすく、飲み込みの際も引っかかりにくいように、固形物と汁物を交互に食べると良いでしょう。

このときどうしても介助者は食べ物と本人の口のみを見がちですが、お年寄りと目を合わせ、表情を観察し、コミュニケーションを取りましょう。

咀嚼(そしゃく)している際に、話しかけてはいけません
誤嚥の危険性があります。

※咀嚼とは食事をよく噛み、唾液と混ぜて飲み込みやすくする動作

1口飲み込んだなと思ったら、「次は何を食べようか?」や「これ、美味しかった?」などと聞きながら、食事を進めていきましょう。


食事が終わったら

食事が終わったら、お年寄りの手を拭き、胸元のタオルを片付けます。

本人さえ良ければ口腔ケアを行います。
気分不良があった場合は避けましょう。

えづいた際に嘔吐してしまう可能性があります。すぐ臥位になるのではなく、しばらく「あたま」のギャッジをあげたまま、20分ほどテレビを見ていてもらうなどして起きていてもらいましょう。

どうしても倦怠感から「横にして」という訴えが多いものですが、食後の消化を助けるためにも起きていることの重要性を伝えましょう。


補足・・・食料による窒息に注意

寝たままでの食事では誤嚥(ごえん)と同じくらい窒息にも気をつけなければなりません。

お餅・海草・こんにゃく・ドーナツなどの水分をあまり含まないおやつ等、サイズを考えて口に運ばないと大変危険で、食べる際にもゆっくりと味わってから食べるようにとの声掛けが必要です。

さらに摂取の最後には、お茶をしっかりと飲んでいただき、必ず口内に何も残っていないか確認しましょう。

残ったまま臥床してしまい、窒息死されたという例は毎年見られます。

拒否がありどうしても口内の確認が出来ない場合でも、こまめに水分をとってもらうなどし、様子観察しましょう。


寝たままの姿勢で食事をしている際にむせてしまったら

体をそのままの姿勢から、より前かがみになるように保持し、背部の中央より少し右側を軽くパッティングしましょう。

きつく「く」の字になってしまうと嘔吐の可能性があるので、無理の無い体制で、背部を撫でさすり様子を見ましょう。

すぐ水分をすすめる介助者は多いですが、基本水分はしゃべり言葉がちゃんと出せるようになってからの方が安全です。

あせらずゆっくり様子を見ましょう。

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