糖尿病のご利用者(被介護者)の調理での注意点


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糖尿病のご利用者(被介護者)の調理での注意点
糖尿病とは、摂取された食物が消化されていく過程において、すい臓で作られるインスリンというホルモンの分泌不足により、分解されたブドウ糖が体内(主に筋肉や肝臓)に吸収されにくくなり、ブドウ糖が血液中に溜まっていく病気です。

糖尿病の治療には、インスリン分泌を促進する薬剤や、インスリン抵抗性を改善する薬剤。ブドウ糖の吸収を遅らせる薬剤が処方されるなど薬物療法も処方されるのですが、お薬よりお医者さんが薦めるのは、運動療法と食事療法です。

では、糖尿病のご利用者(被介護者)の食事において、実際どのような事に気をつけて調理を行えばよいのでしょうか。

私が実際にヘルパーとして入っていた糖尿病の利用者さん。
そちらでは週3回昼食と夕食を作りに行っていました。
そこでは事業所から、こんな約束事が決められていました。

1)1日の適正エネルギー量を守る
2)1日3回きちんと食事を摂っているか観察し報告する
3)栄養はバランスよく偏らないようにする

最低この3つは守るように義務付けられていました。

これは、病院・施設などいずれも糖尿病食を提供する上での鉄則だそうです。おおまかな修訳ですが、1つ1つしっかり理解しましょう。

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1)1日の適正エネルギー量を守る

糖尿病食の基本は、1日の食事で必要なエネルギー量を知ることです。
算出方法は以下です。

・標準体重=身長(m)×身長(m)×22(BMI)
・1日の摂取カロリー=標準体重×生活強度
※生活強度
会社員・主婦など軽作業の人:30
動きの少ない高齢者:25
工事現場作業など重労働の人:40

こうして算出された1日の摂取カロリーを、栄養バランスを重視して均等に摂取していかなければならないのです。

病院ではもちろんの事、在宅介護・施設介護に於いても利用者の情報として開示される情報ですから、医師から指示された1日の摂取カロリーを、介護者側もしっかり記憶しておきましょう。


2)1日3回きちんと食事を摂っているか観察し報告する

血糖値を安定させるためには、食事の時間と量をできるだけ毎日一定にすることが大切です。

また、偏食していないか。間食していないか。アルコールを食間に摂取していないかも観察し、報告する、カルテに書くなどし、しっかり管理しましょう。


3)栄養はバランスよく偏らないようにする

これが1番介護者(ヘルパー)として気を配るし、大変なところでしょう。

炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル等、調味料も含めバランスよく献立を考えなければなりません。

また近年「炭水化物の摂取が糖尿病の治療を遅らせている」という風潮が強く、炭水化物の摂取制限がより厳しくなっています。

ですからその他の副食で、白米のカロリーを補います。

ですがカロリーを計算して糖尿病食をつくると、「これだけ?」と、初期の方は嘆きます。

糖尿病食の基本は「揚げない・油で焼かない・薄味・和食」。

工夫がないと、今まで洋食の食べ応えに慣れ親しんだ胃袋は、満足感・満腹感が得られないのです。

一度糖尿病の診断が出ると、血糖値が安定したとしても、食事療法は長期実施が基本です。


ヘルパーが味気ない糖尿病食をどう工夫するか?

利用者には辛いと思うのではなく、糖尿病食を楽しんでもらいたいものですが、それには介護者(ヘルパー)の創意工夫が必要です。

油は吸収が遅いので空腹感を紛らわせる効果があります。が、糖尿病は、肥満との相関性が非常に強いので油物はお薦めできません。

マーガリンなどにも注意をはらいます。

また主食はパンよりごはんを提供しましょう。
米には食物繊維が多く、パンよりも血糖値の上昇が緩やかです。

また、米のほうが飲み込むまでの咀嚼回数が多い分、満腹感が得られます。

玄米なら尚効果が期待できます。塩分は1日10グラムまで。高血圧予防にもなります。理想の栄養バランスは糖質55~60%・たんぱく質20%・脂肪20~25%。具体的には「主食3・主菜1・副菜2」の割合です。

主菜・副菜の調理の於いて、調理方法は、基本「茹でる・蒸す・煮る・網焼き」。

ここで食物繊維を活用しましょう。
他の食べ物と食物繊維を一緒に摂ると、栄養の消化・吸収に時間がかかるため、血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。

野菜・海草・きのこ類を、毎食取り入れましょう。

また野菜の中でも緑黄食野菜を積極的にメニューに加えると、抗酸化物質とマグネシウムの働きによって糖尿病進行のリスクを減らすことが出来るのではと考えられています。

青魚や大豆にはアディポネクチンという糖尿病や動脈硬化にも効果が期待されるホルモン物質の分泌を促進するマグネシウム・食物繊維が多く含まれており、いままで肉だったメニューを青魚に置き換えたり、サラダに大豆を加えるなどすると良いでしょう。

これに加えてカラーピーマンを使って彩りを工夫したり、酢の物で味に変化をつけたり、こんにゃくをつかって量増ししたりなど、楽しく食べられる食事を提供しましょう。

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