買い物を頼まれた時の注意点
介護保険利用での訪問介護では提供できないサービスがあります。その一つが生活援助での買い物についてです。
介護保険の生活援助では、日常の生活に必要な物や必要とされる物の買い物を、いつも行くスーパーやお店であれば行う事ができます。
しかし、利用者さんによる「突然食べたくなった名産品」や「お歳暮・お中元の贈り物」、「物産展の代物」などについての買い物は行えません。
これらは、日常生活に普段なくても困らないものであるため、直接の生活支援には当てはまらないとされています。
他にも、「○○が安売りしているから」と言う理由で、遠くのお店に買い物に行く様に頼まれても、普段の買い物に使用するお店では無いため買い物に行く事はできません。原則は利用者さんの普段の生活圏内での買い物になります。
また、前日などに「明日来る時に買って来て」と買い物を頼まれた場合は、事業所の許可無しにヘルパーの自己判断で行う事はできません。
ヘルパーが現金を預かり、もしくは立て替えて、次の訪問時に買い物を済ませてからお伺いする事は、トラブルの原因にもなります。
介護事業所に相談をし、現金を預かった場合は介護事業所で保管・管理して貰いましょう。
原則的には、利用者さんのお宅にお伺いしてからが訪問介護の時間になりますので、当日に買い物の内容や金銭を確認してから行うべきなのですが、お伺いする前に済ませる事業所もあります。
しかし、買い物を済ませてからお伺いした場合は、店舗内での時間は訪問介護の時間に含まれますが、店舗から利用者さんの宅までの移動時間は訪問介護には含まれない事になります。
買い物の金銭管理について
買い物を訪問ヘルパーが行う場合、基本的には、利用者さんから”その都度現金を預り”行います。しかし、利用者さんに金銭管理能力が無い場合は、事業所とご家族で話し合い、どの様にするかを決定します。
他者の金銭を管理する事は、トラブルに巻き込まれる場合も無いとは言い切れません。しっかりとした管理をする必要があります。
利用者さんから金銭を預かった場合
利用者さんやご家族に、買い物した商品とレシート、釣りを確認して貰い、間違いが無いか確認してもらいます。
また、介護事業所が作成した『買い物代行記入帳』に預り金や購入商品・釣りを記入し、レシートや領収書等を貼り付けて利用者さんやご家族に保管して頂きます。
また、訪問介護記録には預り金、購入商品名と金額に関することを明確に記入します。
事業所から金銭を預かった場合
利用者さん宅にお伺いする前に事業所から現金を預かり買い物をする場合、買い物をした商品が明確にわかるレシートや領収書、釣りを事業所に渡します。
お酒やタバコなどの嗜好品の買い物について
利用者さんから、「お酒買って来て」「タバコ買って来て」と頼まれた場合、判断が難しい所です。
利用者さんにとって今までの生活の継続の観点から必要な物なのかもしれません。しかし、ヘルパーの買い物としては行うべきではありません。
何故なら、お酒もタバコも体に害を及ぼす物であり、普段生活する上で必ずしも必要な物では無いと判断され、ケアプランに含まれていない場合が殆どだからです。
どうしても必要だと利用者さんが訴えるのであれば、嗜好品が生活のどのような位置を占めているのかを把握し、サービス提供責任者に相談をしましょう。
それでもケアプランに含まれないのであれば、サービス提供責任者から利用者さんに説明をしてもらいましょう。
利用者さんのご家族への買い物について
利用者さんからご家族への買い物を頼まれた場合でも、利用者さん自身の普段の生活には関係無いものと見なし行うことはできません。
例えば「家族が来るから、家族の分の食料も買ってきて」と言った場合でも、利用者さん自身の物では無いため、買い物を行うことはできません。
買い物を行う場合、利用者さん自身の普段の生活に必要なものなのかを判断して行う必要があります。
買い物をする時の注意点
・利用者さんの普段の生活圏内のお店を利用し、なるべく移動時間を短縮します。
・購入商品とレシートを照らし合わせ、間違いが無い事やお釣りを確認してもらいましょう。
・事業所でも把握できる様に、記入漏れが無い様に注意し、預り金とお釣り、購入商品名と値段を細かく『買い物代行記入帳』に記入しましょう。
注:決して自分自身のお財布からお金を出す事はしないで下さい。立て替える場合は、事業所に出してもらいましょう。
金銭面でのトラブルは信用問題にも関わる事ですので、慎重に扱わなければなりません。
必ず、利用者さんやご家族にその都度確認して頂きましょう。
また、普段と違った買い物を頼まれた場合に、必要な物なのかの判断が難しい場合は、自己判断をしないでサービス責任者に確認しましょう。