ノーマライゼーションとは
ノーマライゼーションとは、社会福祉用語の一つであり、”障害のある方も無い方と同様の生活を送れるよう支援するべき”と言った考え方の事です。これは、1960年代に北欧諸国から始まった、社会福祉に対する社会理念の一つでもあります。
また、現代では福祉政策だけの考え方では無く、教育や企業活動でも取り上げられる様になってきています。誰しもが、差別や偏見なく、普通に地域で生活を送ると言った、「人権問題」として捉えられる様にもなっています。
簡単に言えば、障害者も健常者も差別無く、誤った偏見を無くし、バリアフリーの社会を目指すと言う事だと考えます。また、障害者施設などに入居させ、生活を制限してしまうのは人権を無視していると言う考え方もあるようです。
介護の視点から考えるノーマライゼーションとは
ノーマライゼーションは障害者に視点を当てる事が多く感じられますが、介護の世界では障害者と言うよりは高齢者に当てはめて考えます。
高齢になれば身体的にも様々な障害が出始め、地域で普通に生活を送るのは難しくなってきます。しかし、何かしら(家族や近隣、もしくは専門家)の手助けや支援があれば可能となります。
そのためには、家族や近隣の方々の理解とヘルパーサービスなどを利用し、今までの生活レベルをできるだけ維持する環境を整えます。環境を整えるための支援は高齢者の状態や状況によって変わります。
介護サービスの8つのノーマライゼーション原理達成の取り組み
2.1週間の”ノーマル”な生活リズム
3.1年間の”ノーマル”な生活リズム
4.ライフサイクルのおける”ノーマル”な発達的経験
5.”ノーマル”な個人の尊厳と自己決定権
6.その文化における”ノーマル”な性的な関係
7.その社会における”ノーマル”な経済基準とそれを得る権利
8.その地域における”ノーマル”な環境の形態と水準
注:障害をノーマルにすると言う意味ではありません。
介護の視点から考えるノーマライゼーションは、高齢者の住居・教育・労働・余暇などの生活の条件などをできる限り今までの生活条件と同じようにすることを指します。介護者の都合に合わせるのでは無く、高齢者に合わせた生活リズムを整えます。
そのための取り組みとして、ケアマネンジメントがあり、アセスメント・ケアプラン・介護サービス・支援の提供があると考えられます。これらは、高齢者の生活基準を今まで通りに維持するために必要な情報と支援を介護者が共有するためにも必要不可欠であると考えられます。
ケアマネジメントでは、高齢者の権利や尊厳、QQLの十分配慮し、高齢者のニーズを達成し解消する事にあります。
ケアマネジメントは、高齢者のために実施されるものであり、決して家族や介護者のために行われるものではないのです。
また、介護者同士のコミュニケーションと共通の理解を得ることで、より良いサービスの提供が行われると考えます。
介護者が最も考えなくてはならないこと
高齢者の支援を行う介護者は、自分の都合に合わせて物事を行うのでは無く、高齢者に合わせる事が最も大事な事であると言えます。
とは言え、決められた時間で支援している場合、時間内に計画に基づいた支援を行う事が目的となりますので、しっかりとした計画と手際の良さが求められるでしょう。時には、介護者の都合に合わせて変更となる事もあるかもしれません。
しかし、完璧に高齢者の生活リズムに合わせた支援計画と言うのは困難です。ですから、『できる限り近づける』これが介護者にとって必要な心構えと言えるでしょう。
ケアプランにある支援は、ケアマネージャーと高齢者、もしくはご家族との話し合いの下で立てられるものであり、生活基準を可能な限り高齢者に合わせた計画であると言えます。
介護者が支援する部分は、高齢者自らが行えないものであり、支援がある事で今までのノーマルな生活を維持する事が出来る範囲と言えます。
ですので、介護者が出来ないでは済まされないのです。介護者は苦手(料理や掃除など)を克服する努力が必要です。
また、決められた時間内での支援の場合であっても、行う順番や事柄を介護者自身の都合で安易に変更する事は、高齢者の生活のリズムを乱す事に繋がりますので避けた方が良いでしょう。支援を行う際は、特別な要望がない限り、同じリズムで行う方が好ましいのです。
介護者は高齢者の生活の支援をする上で、支援をしてあげているのでは無く、お邪魔していると考えるのが望ましいのです。介護者がいる時間は、高齢者にとっての今までの生活の延長ではありません。なるべく邪魔にならず、時間内に速やかに丁寧に支援を行う事が理想的です。
高齢者にとって今までの生活基準を維持するためには、介護者の支援は必要な事ですが、それ以上に他人がライフサイクルに足を踏み入れる事に抵抗を感じる事がありますので、その気持ちもくみ取りながら支援を行うようにしましょう。