センター方式とは
センター方式とは、パーソンセンタードケアである”その人を中心としたケア”の一つのツールと言えます。簡単にいうと、認知症を持つ人の状態を知るための情報収集ツールであり、認知症を持つその人をケアする関係者全てが共通の情報と意識を持ってケアできるようにまとめたものです。
日本の認知症介護研究・研修センターでは2000年に導入しました。センター方式シート(全16枚)を使用し、それらのシートを埋めていくことで認知症を持つ人を理解し、”その人らしいケア”を行える様に考えられています。
センター方式を活かそう
・ケア関係者と認知症を持つ人のご家族とのコミュニケーションツールや情報交換のためのツールとして
・普段の日常的な情報集約ツールとして
・他の事業者との情報配信や会議に活かす(利用者さんが住み替えの場合などの引継ぎツールとして)
・新しい認知症ケアを学ぶツールとして
センター方式の”共通の視点”を理解しよう
2.安心:その人の安心と快
3.自立:暮らしの中での心身の力の発揮
4.予防:その人にとっての安全と健やかさ
5.継続:馴染みの暮らしの継続(環境・関係・生活)
センター方式シートの”構造とポイント”を知ろう
A.基本情報(シートA-1~4):ポイント
A-2(私の自立度経過シート):自立状態を保てるように、私の状態と変化の経過を把握してください。
A-3(私の療養シート):現在の私の病気や服用している薬を把握して、健康で安全・安心して暮らせるように支援してください。
A-4(私の支援マップシート):私らしく暮らせるように、馴染みの人や物・動物・場所などを把握して、より良く暮らせるように支援してください。
B.暮らしの情報(シートB-1~4)
B-2(私の生活史シート):今まで私がしてきた暮らしです。その暮らしの歴史から、私が安心して生き生きとした暮らしができるようにヒントを見付けてください。
B-3(私の暮らし方シート):私なりの生活サイクル、馴染みの暮らし方があります。継続できるように支援してください。
B-4(私の生活環境シート):私が落ち着いて、私らしく生活できるように環境を整えてください。
C.心身の情報(シートC-1~2)
C-2(私の姿と気持ちシート):私の現在の姿と気持ちを書いてください。
D.焦点情報(シートD-1~5)
D-2(私がわかること・わからないことシート):私がわかりそうなことを見付けて、力を引き出す機会を作って引き出してください。そして、わかる可能性があることに関しては、わかるように支援してください。逆に、わからなくなってしまったことに関しては放置したりせず、代行したり、安全や健康のためにしっかりと管理をしてください。
D-3(生活リズム・パターンシート):私の生活リズムを把握してください。そして、その私にとって自然な生活リズムが最大限に保たれるように支援してください。介護する側の都合で、水分補給や排泄・睡眠などの時間を一律のパターン化して強いないでください。
D-4(24時間生活変化シート):私の1日(24時間)の気分の変化です。この気分の変化が何によっての影響なのかを把握して、予防的に関わるタイミングや内容を見付けてください。
D-5(私の求める関わり方シート):私に関わる時の態度やまなざしを点検してみましょう。
E.情報のまとめ
センター方式を利用する場合の最も重要なポイント
1.ご本人とご家族の声をしっかりと受け止めること
表面的なことだけに目を向けるのではなく、しっかりと耳も傾け真意に気付くことが大切です。
可能であれば、スタッフだけが記入するのではなく、本人やご家族にもシートをお渡しし記入してもらうと良いでしょう。
2.ご本人の視点に立ち”適切なケアをする”ためのプロの見極め
記入するすべての内容を、ご本人である「わたし」の視点で書き進めていきましょう。
そして、ご本人がより良く暮らしていけるように課題とケアをしっかりと見極めていくことが大切です。