ヘルパーと利用者家族との介助イメージの違い
介護サービスに従事するヘルパーとご家族とではサービスに対するズレが生じることが多いものです。
ヘルパーにとって長年の経験から当たり前のことでも、実際のサービスに対してあまり関わりの無い家族にとっては斬新なものであることが多く、サービス利用前に家庭で介護をしていた場合は家族が行っていた独特の介護とヘルパーが行うボディメカニクスや専門知識を駆使した介護には大きく開きがあります。
また病院に入院していた状態からのサービス利用になると、介護事態に疎くすべてが珍しいものになります。
また一般家庭で許される行為でも、介護サービス利用上では規定に反して行えないものもあり、これらのズレをサービス利用開始の段階で説明をして了解を得ておかないと思わぬトラブルに発展することもあるのです。
食事介助に対するズレ
介護サービスを利用するにあたって、病歴から食事制限や水分制限がかかることがあります。糖尿病ではカロリー制限、腎臓病ではカリウム制限、心臓病では水分制限、人工透析患者ではタンパク質、塩分制限等多くの制限があります。
家族はこれらを理解していないことがあるので病気の治療のために制限が必要であることを説明する必要があります。
入浴介助に対するズレ
訪問入浴やデイサービスを使う場合、家庭で風呂に入れることができないとの理由で多くは入浴が目的の利用になります。家族としてはサービス利用時にしか入浴させられない手前、是が非でも入浴させて欲しいと言ってくることがあるのですが、ヘルパーとしては入浴させるだけでなく利用者の体調管理も行うため、入浴前の状態やバイタルによっては入浴させることができないといったケースもあります。
入浴後に急変を起こすと損害賠償に発展する恐れ等があるリスクが伴いますが、家族はそこまで深く考えていません。こちらはサービス責任者や担当のケアマネージャーに間に入ってもらう等の対応が必要です。
排泄介助に対するズレ
デイサービスやショートスティ等の居宅サービスを利用する場合、在宅での対応を統一するために家族の意向に従うことを優先することがあります。例えばヘルパーの目から見て利用者のADLだとトイレで排泄をすることができると判断したとします。
しかし在宅の環境ではトイレに連れて行くことは困難なため家族からオムツ対応を依頼されていたら、オムツにて対応しなければなりません。
利用者のご家族にしっかり説明することが重要
おおまかに事例を挙げましたが、日頃当たり前のように行っている介護でも、ヘルパーは訪問介護サービスを除いて、在宅で介護をすることはあまりありません。
一方家族も介護サービスとしての介護に疎いことが多いので、双方で多少のズレが生じてしまうのも事実です。
このちょっとしたズレがトラブルに発展することも少なくはありません。それを防ぐには、サービス利用時にサービス提供責任者からの詳しい説明と家族からの同意をもらうこと、ヘルパーは責任者からの情報提供と指示を正確に把握して仕事をするということを心掛けましょう。